ローマ帝国の金貨、エルサレムで出土 表に皇帝ネロの肖像
エルサレム(CNN) エルサレム旧市街の近郊で21日までに、考古学者らがローマ皇帝ネロの肖像を表面に刻んだ金貨を発見した。ネロは古代ローマで起きた大火災の最中に弦楽器を弾いていたとの逸話で知られている。
金貨はエルサレム旧市街の南郊にあるシオンの丘の発掘現場で発見された。現場ではこの夏、米ノースカロライナ大学シャーロット校のチームが発掘調査を行っていた。
研究者らによれば、金貨は紀元56~57年にかけて鋳造された可能性が高い。ローマ人は紀元前63年、エルサレム攻囲戦として後に知られるようになった戦いの後、エルサレムの支配権を掌握していた。
発掘の共同責任者であるシモン・ギブソン氏によれば、科学的な発掘の過程でこうした硬貨が出土するのはエルサレムでは初めてで、今回見つかった金貨は例外的なものだという。この種の硬貨は通常、私的なコレクションの中にしか見つからない。その場合、硬貨の作られた場所についての明確な証拠は入手できなくなるという。
金貨の片面に彫られたネロの肖像には「カエサル」の名が記されている。ローマ皇帝の多くは皇帝を表す言葉として「カエサル」や「アウグストゥス」の称号を名乗った。
縁の部分にめぐらしたこれらの文言でネロの名前や地位が読み取れる。裏面にはオークの冠の模様のほか、「EX S C」「PONTIF MAX TR P Ⅲ,」との文言も刻まれている。考古学者らはこの文言から金貨の年代を特定した。