クモの糸が導く未来<3> 航空機材など新たな分野へ
神経の修復に関しても別会社を通じて同様の構想が進んでいる。研究チームはこれを中枢神経系に応用して、深刻な脊椎(せきつい)損傷によって引き起こされるまひの治療に役立てたい考えだ。
クモ糸に基づく再生医療には新たな可能性が広がっており、毎日のように新研究が発表されている。クモのDNAをヤギに埋めこんだり酵母から糸を生成するといった試みのほか、縫合糸や移植片などへの活用も進んでいる。
ボールラス氏の研究チームは現在、自転車のヘルメットや航空機の機材などのテーマに取り組んでいる。効率性の高いクモの糸紡ぎの方法を高度な製造業に生かすための研究も進行中だ。同氏はクモが何百万年も前から生息してきたと指摘。研究は始まったばかりだとして意気込んでいる。
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