深宇宙探査、物理学の限界を超えて<2> 反物質エンジン
また反物質は缶に入れて保存することはできない(缶も破壊されてしまうためだ)。そこで、反物質は磁場の中で捕らえ、保存する必要がある。その上で、それを宇宙まで安全に運ばなくてはならない。
RALの科学者ボブ・ビンガム氏は、克服不可能と見られるそれらの障害を乗り越えられれば、宇宙探査機の速度は光速の半分に達する可能性もあると予測する。
この問題は、小型のロボット探査機を使用することによりいくらか軽減できるかもしれない。ロボット探査機であればコストがかからず、さらに長期間宇宙で人間の面倒を見る手間も省けるからだ。
宇宙探査機に動力を供給する手段は他にどのようなものがあるのだろう。これまでのところ、太陽帆や光子レーザー推進など、多くの方法が提案された。
NASAは、革新的先進コンセプト・プログラム(NIAC)で新技術の開発を促している。
同プログラムの下で行われている研究の1つがパルス核分裂・核融合推進システム(PuFF)だ。NASAによると、このPuFFにより「太陽系内外の目的地の探査能力が劇的に向上すること」が期待されるという。
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次回「深宇宙探査、物理学の限界を超えて<3> ワープ航法」は3月26日公開