世界最悪の大気汚染を実体験、ノルウェーにドーム施設
(CNN) 猛暑の中で廃棄物の燃える臭いが鼻を突くインドのニューデリー。厚いスモッグが目に染みるブラジルのサンパウロと中国・北京。ディーゼル車の排気が蔓延(まんえん)する英ロンドン。そんな「世界最悪の大気汚染」をドームの中で実体験できる施設が、ノルウェー中部のトロンヘイムに登場した。
この施設「ポリューション・ポッズ」を手がけたのは英国のアーティスト、マイケル・ピンスキー氏。各都市の大気や臭いや気温を再現した5つのドームを連結し、7月7日までの期間限定で一般に公開している。世界の4大大気汚染都市に加えて、5つ目のドームではノルウェー・タウトラ島の海岸の清浄な大気を再現した。
来場者は世界の大気汚染都市をめぐる仮想ツアーを楽しめる。ただし、健康被害が生じても責任は問わないという誓約書に事前に署名する必要がある。
この施設は、ビジュアルアートで人々の気候変動に関する認識を変えさせることができるかどうかを問うノルウェー大学のプロジェクト「クライマート」から生まれ、120件の応募の中からピンスキー氏の提案が選ばれた。
「私の作品は常に政治的だった」と語るピンスキー氏は、作品を通じて社会的、政治的問題を問いかけるアーティストを自認する。「私の第一の目標は、アートで何ができるのか、そして政治的、知的、美的水準でアートをどう機能させるかの限界に挑戦することにある」
来場者にはアンケートに答えてもらい、研究チームはその結果を盛り込んだ論文を12月に発表する。