遺伝子工学で鶏卵からがん治療薬成分、日本のチームが成功

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がんなどの治療に使われるたんぱく質を豊富に含んだ卵を産ませることに成功

がんなどの治療に使われるたんぱく質を豊富に含んだ卵を産ませることに成功

(CNN) ニワトリに遺伝子工学の技術を使い、多発性硬化症(MS)やがんの治療に使われるたんぱく質「インターフェロンβ(ベータ)」を豊富に含んだ卵を産ませることに、日本の研究チームがこのほど成功した。これまで非常に高価だった治療薬を、はるかに安く作れるようになる可能性がある。

国立の産業技術総合研究所(AIST)と農業・食品産業技術総合研究機構、バイオ研究関連の専門商社「コスモ・バイオ」の共同チームが現在、学会発表の準備を進めている。

インターフェロンβの生産には従来、大規模な無菌施設が必要とされてきた。このためコスモ・バイオによると、現在の価格は1マイクログラム(100万分の1グラム)あたり300~1000ドル(約3万3000~11万円)に上る。例えばMSの治療は30マイクログラムの投与から始まり、さらに追加されていく。

同社の報道担当者によれば、新たな技術が実用化された場合、がん治療薬の価格を1割以下に抑えることができるという。

たんぱく質の構造を持つ医薬品の製造には、これまでもイースト菌などの微生物や動物の細胞が使われてきた。インターフェロンも大腸菌やチャイニーズハムスターの卵巣細胞に作らせる方法が開発されたものの、安価に大量生産するまでには至っていない。

共同チームは当初、ニワトリの染色体に必要な遺伝子を埋め込むことによってインターフェロンβを含んだ卵を産ませようとしたが、結果にはばらつきが出た。そこで新たに高精度のゲノム編集技術を使ったところ、より正確かつ安定的にインターフェロンβを作れるようになったという。

卵白から得られたインターフェロンβの安全性が検証され、従来の方法で作った場合と同じ構造になることが確認されれば、生産を拡大して薬を安く供給できるようになる。

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