ドイツ自然保護区の飛行昆虫、約30年間で75%減少
(CNN) ドイツの自然保護区に生息する飛行昆虫の数が、27年間の調査のあいだに75%あまり減少した。そんな研究結果が20日までに、米科学誌「プロスワン」に発表された。研究者らは昆虫生息数の「劇的」かつ「危機的」な減少により、世界の穀物生産や自然界の生態系に広く影響を及ぼす恐れがあるとしている。
研究はオランダのラドバウド大学とドイツ西部クレーフェルトの昆虫学会の研究者が実施したもの。
研究では、「飛行昆虫のコミュニティーはこの数十年間で全体として激減した」と指摘。「昆虫の多様性や生息数の豊富さが失われたことで、食物網に連鎖的な影響を引き起こし、生態系のあり方を危険にさらすものと予想されている」とした。
論文の共著者は、今回の研究結果を受けて同僚も含め非常に驚いたと言及。CNNの取材に、「これらは農業地帯ではなく、生物の多様性を保存するための場所だ。だがそれにもかかわらず我々は、昆虫が手の届かないところに行ってしまっているのを目の当たりにしている」と述べた。
今回の報告書では生息数減少の背後にある要因として、気候変動や昆虫の生息地の消滅、殺虫剤の使用の可能性を示唆している。
食物源を昆虫に頼っている種や、これらの動物を食べる食物連鎖上位の捕食者は、こうした生息数の減少により打撃を被る可能性が高い。穀物や野生植物の受粉のほか、土壌内の栄養循環も影響を受けるとみられる。