暴力や性的暴行の衝動、脳への刺激で抑制できる可能性
その結果、脳に刺激を与えられた被験者が暴力や性的暴行に及んでいた可能性はそれぞれ47%と70%で、刺激を与えられなかった被験者に比べて低いことが分かった。
この研究にかかわったペンシルベニア大学のエイドリアン・レイン氏は、「犯罪の原因の究明に当たっては、大部分の焦点が社会的要因に絞られる。それも大切だが、脳の画像診断や遺伝学の研究では、暴力行為の半数は、生物学的要因に起因する可能性があることも示されている」と解説する。
同氏はさらに、「我々は社会に許容される無害な生物学的介入を見つけようとしている。経頭蓋直流刺激は最低限のリスクで済む。これは前頭葉切断のロボトミー手術ではない。実際にはその逆で、脳の前部と他の部分とのつながりを良くする必要があるということだ」と強調した。
たとえこの技術が実際に使われたとしても、暴力が一掃されるわけではなく、今後さらに研究を進める必要がある。今回の実験は「健康な」被験者のみを対象としており、暴力的傾向のある人に対しても効果があるかどうかはまだ分からないと研究チームは説明している。