暴力や性的暴行の衝動、脳への刺激で抑制できる可能性
(CNN) 身体的暴力や性的暴行の衝動は、脳に物理的な刺激を与えることで抑制できるかもしれない――。米ペンシルベニア大学とシンガポールの南洋理工大学が、そんな研究結果をこのほど学術誌に発表した。
これまでの研究では、暴力を振るう人の一部は、脳内で複雑な思考や意思決定を司る「前頭前皮質」に欠損があることが分かっている。そこで研究チームは、脳のこの部分に刺激を与える実験を考案した。
実験は米フィラデルフィアで「健康な」成人81人を被験者として実施。このうち半数には、痛みを感じない程度の電流を前頭前皮質に流す「経頭蓋直流刺激」を20分間行い、残る半数には弱い電流を30秒間流した。いずれのグループにも、実際に刺激を与えているのかどうかは知らせなかった。
続いて被験者に2つの場面を想像してもらった。
最初の場面では、男性が2年前から交際している女性と夕食に出かけ、トイレに立った間に自分の友人がテーブルにやってきて彼女とおしゃべりを始める。戻ってきた男性は、彼女の電話番号を聞き出そうとしている友人と口論になり、ついに相手の頭をビール瓶で殴りつける。
2つ目はカップルの初デートの場面。女性のアパートで映画を見ながらキスを交わし、親密度がさらに深まりそうになったところで女性が拒む。しかし女性に何度も抵抗されたにもかかわらず、男性は女性を性的に暴行する。
被験者にはこのストーリーについて、実際に自分が暴力や暴行に及んでいた可能性を10段階で判定してもらった(0は可能性ゼロ、10は100%の可能性)。