84年前に母が借りた本を息子が返却、延滞料は取らず 米図書館
(CNN) 米ルイジアナ州の図書館でこのほど、84年前に母親が借りた本を息子が返却する出来事があった。図書館側は延滞料3ドル(約340円)を請求しない方針だ。
返却された本は、1934年に当時11歳だった母親が借りたエドガー・リー・マスターズ著の「スプーン・リバー詩集」。架空の町「スプーン・リバー」に生前住んでいた死者が一人称の視点から書いたという趣向の詩が集められており、生と死に関する省察が展開されている。
こうした内容も踏まえ、図書館はフェイスブックで「ハロウィーンを控えた時期に長年の時を経て返却されるのにふさわしい幽霊が出そうな本」と説明した。
男性は両親の家を掃除していた時にこの本を見つけ、返却を決断した。
図書館員のジャッキー・モラレスさんは、「男性は母親がまだ本を持っていたことに驚いていた。とても責任感の強い女性だ」と語る。
図書カードの期限には「34年4月14日」の日付が/Shreve Memorial Library
製本がゆるくなっていたことから、この図書館では貸し出しを中止したが、それでもモラレスさんは本の内容を良く知っている。「高校時代、この本が宿題になったことがある」「英語の先生は各生徒にそれぞれの詩を暗記させていた」と振り返る。
延滞料については検討したこともないという。
「この件で他の人も返却する気になってくれれば良いのですが」とモラレスさん。「図書館の本を返すのに遅すぎるということは決してありません」