世界のコーヒー豆、6割が絶滅の危機と研究者 乱伐や気候変動で
(CNN) 世界の野生種のコーヒーのうち、60%が絶滅の危機に瀕している――英国とエチオピアの研究者らが、このほどそのような報告を科学誌に発表した。人間の活動に由来する環境の変化などが原因だという。
具体的には気候変動や森林伐採、干ばつ、植物病の影響だとしている。英ロイヤル・ボタニック・ガーデンズ・キューの上級研究員アーロン・デービス氏はCNNに対し、植物としてのコーヒーは極めて限定的な環境で生育すると指摘。乱伐でそうした環境が奪われるのはもちろん、気候変動に伴う気温の上昇や雨量の増加で従来のように生育できなくなる恐れがあると警鐘を鳴らした。
そのうえで「人類による森林への進出と伐採の脅威を考慮すると、一部の品種は向こう10~20年で絶滅する可能性がある。とりわけ気候変動による影響が重なるとそうなる」と述べた。
各国政府や生産業者が品種の保護を強化し、コーヒー豆の備蓄を増やさなければ、消費者に回る量も減少は避けられない。コーヒーの価格が上がる一方で品質は下がる事態が想定される。
報告によると、世界のコーヒーの野生種124種のうち絶滅の危機にさらされているのは75種。また約35種は、環境保護対象外の地域で生育しているという。商品として最も一般的とされるアラビカ種について、前出のデービス氏は以前行った研究で60年以内に絶滅する可能性があるとの見解を示していた。
同氏はコーヒーを守るための対策として「まず第一に自然の環境で生育している種を保護すること。次に既存の保護地域の管理を強化する必要がある」「そのうえで新たな保護地域の設置も行わなくてはならない」と提言した。
キューの研究者らによると、他の植物に比べてコーヒーの種子は生きた状態で保管するのが難しく、コストもかさむため、自然の環境をいかに保護するかが重要になる。最近、エチオピアには3カ所の保護エリアが作られたが、最も脅威にさらされているのはマダガスカルとタンザニアで生育するコーヒーだという。