赤道を越えたカクレマンボウ、北米で初の発見 研究者を驚かす
(CNN) これまで南半球でしか見つかったことのない種類のマンボウが、米カリフォルニア州南部の海岸に打ち上げられているのが見つかり、世界の研究者を驚かせている。
死んで海岸に打ち上げられたマンボウは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校が管理する自然保護区で2月19日に見つかった。体長は約2.1メートル。当初はこの近海のマンボウと思われていたが、インターネットに投稿された写真がきっかけで、カクレマンボウという種類だったことが判明。北米でカクレマンボウが目撃されたのは初めてだった。
2017年にこの種を発見したニュージーランドの海洋科学者マリアン・ナイエガード氏は、「写真を見て間違いないと確信した。これはどこから見てもカクレマンボウだ」と断言。「信じられなかった。椅子から転げ落ちそうになった」と話している。
ナイエガード氏は何年もカクレマンボウを追い続けた研究者で、命名したのも同氏だった。これまでに発見されのはオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、チリのみ。唯一の例外として、1890年代にオランダで目撃されたという記録が残っていた。
北米でカクレマンボウが見つかるのは初めて/Courtesy Thomas Turner
海にすむマンボウは5種類に分類され、それぞれ熱帯の海や亜熱帯の海など生息場所が異なる。カクレマンボウは温暖な海にすむ種だといい、「なぜ赤道を越えてカリフォルニアにたどり着いたのか、非常に興味深い」とナイエガード氏は言う。
注目のカクレマンボウを最初に見つけたのはカリフォルニア大学サンタバーバラ校のインターンで、連絡を受けた同大の専門家が写真をフェイスブックに掲載、これを見た同僚の生物学者、トーマス・ターナー氏が自ら海岸へ行って写真を撮り、生物観察サイトの「iNaturalist」に投稿した。
この投稿について知らされたオーストラリアの魚類専門家が、カクレマンボウかもしれないと指摘し、ナイエガード氏に連絡を取った。
しかし投稿された写真だけでは確信できなかったため、ナイエガード氏らはもっと写真が欲しいと依頼。最初の発見から既に2日が過ぎており、死骸は元の場所にはなかったものの、ターナー氏らが手分けして探した結果、数百メートル離れた地点に打ち上げられているのを見つけたという。
息子とともにカクレマンボウの写真に収まり、その大きさを示すトーマス・ターナー氏/Courtesy Thomas Turner
ターナー氏らは死骸を詳しく調べ、カクレマンボウの特徴を探した。カクレマンボウは、体の後部に付いている舵(かじ)ビレが独特の形をしているほか、うろこの構造なども他のマンボウとは異なる。
送られてきた写真は、すべてカクレマンボウの特徴と一致しており、ナイエガード氏は間違いないと確信した。
このマンボウがなぜはるばるカリフォルニア州にたどり着いたのか、北米の海に生息する群れがいるのかどうかなどは分からない。
独特の形状をしたカクレマンボウの口/Courtesy Thomas Turner
ナイエガード氏は、カリフォルニアに漂着した個体の遺伝子を、オーストラリアで見つかった個体の遺伝子と比較する意向だといい、「マンボウが遠くまで遠征することは珍しくない」「いずれは、この魚がカリフォルニア州沖に頻繁に現れるのか、それとも1回限りだったのかが分かるだろう」と話している。