ロンドン男性、世界2人目のエイズ完治例か 耐性ドナーからの幹細胞移植で
HIV感染者が幹細胞移植で完治したとされる例は、10年以上前にベルリンで報告されていた。
「ベルリン患者」と呼ばれるティモシー・レイ・ブラウンさんは、HIV感染で抗レトロウイルス薬の治療を受けている間に急性骨髄性白血病と診断され、HIV耐性を持つドナーから2回の幹細胞移植を受けた。抗レトロウイルス薬の投与を中止してから数年後にHIVのこん跡が見つかったものの、ウイルス量は検出限界以下の状態が続き、唯一の完治例とみなされている。
研究者らはこれまで、ベルリン患者の治療を再現しようと試みてきたが、成功例は報告されていなかった。
グプタ教授は「同様の治療で2人目の患者が寛解したことにより、ベルリン患者が例外だったのではなく、この治療がHIVを消滅させたということが立証された」と話す。
ただし専門家らによると、HIV耐性を持つドナーからの幹細胞移植によって一部のエイズ患者だけが治る仕組みはまだ分かっていない。また、HIVに感染しても通常は抗レトロウイルス薬により健康状態を維持できる一方、幹細胞移植には大きなリスクも伴う。そのため現時点での対象者は、エイズ以外の理由で移植が必要な人に限られるという。