そり犬の足元は一面の水、グリーンランドの光景が波紋を呼ぶ
(CNN) グリーンランドの陸からつながる海氷の上でそりを引くはずの犬の足元は、氷でなく一面の水だった――。デンマーク気象研究所(DMI)の科学者が現地で撮影した写真がインターネット上で拡散し、波紋を呼んでいる。
DMIのシュテフェン・オルセン氏は先週、仕事でグリーンランド北西部を訪れた。同僚が海氷上に設置していた観測装置を回収するためだ。
ところがそこに広がっているはずの海氷は、グリーンランドの氷床が溶けた水ですっかり覆われ、そり犬が水をかきわけて走っていた。
オルセン氏はその光景を撮影してツイッターに投稿。グリーンランドの先住民らにとって海氷は交通や狩猟、漁に不可欠だと強調した。
グリーンランドの氷は毎年、6~8月に融解のシーズンを迎える。しかし今年は、オルセン氏が写真を撮った13日の時点ですでに約40%、20億トンの氷が溶けていたと推定される。今年の夏に記録的な量の氷が溶けるとの予測は、数カ月前から指摘されていた。
地表の白い雪や氷が溶ければ、その分太陽光が反射しにくくなり、吸収される熱の量が増えてさらに融解が進む。
グリーンランドの氷床融解は、海面上昇の主要な原因のひとつと考えられている。このまま融解が進行すれば、グリーンランドの犬だけでなく、ニューヨークの街を歩く人々も水をかきわけて進む日がやってくるかもしれない。