グリーンランドの氷融解は予想以上、すでに「手遅れ」か
(CNN) グリーンランドで観測される大規模な氷の融解は予想以上の速さで進み、すでに「手遅れ」の状態に陥っている可能性があるとの研究結果が報告された。
米オハイオ州立大学のマイケル・ベビス教授らが論文をまとめ、21日発行の学術誌、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。
グリーンランドの国土の大半を覆う氷床が未曽有の速さで解けていることは、これまでの研究でも指摘されてきた。従来は主に、氷河の多い同国南東部や北西部での融解が取り上げられてきたが、ベビス教授らのチームは南西部に注目。全地球測位システム(GPS)による沿岸部のデータを詳しく分析した。
その結果、氷の融解は2003年から12年までの間に4倍も加速し、その大半が南西部で起きていたことが分かったという。
ベビス氏は「氷河の崩壊が大きな問題だということはすでに分かっていたが、もう1つ深刻な問題があることが分かった。氷の解けた水が海へ流れ込む、その量が大きく増えているという問題だ」と話す。
ベビス氏によれば、気候変動の影響はすでに抑えられない段階に達している。「我々にできるのは順応することと、この先の温暖化を和らげることしかない。影響をゼロにしたくても手遅れだ」「その結果、海面はさらに上昇するだろう。氷床はすでに暴走が始まる臨界点に達している」と、同氏は強調した。