世界の海で温暖化が加速、異常気象に拍車の恐れも
(CNN) 世界の海で温暖化のペースが加速し、海水温はこれまでの推計よりも大幅に上昇しているという研究報告が、10日の科学誌サイエンスに掲載された。気候変動を食い止める対策を講じなければ、事態はさらに悪化すると警鐘を鳴らしている。
今回発表されたデータでは、海の状態が1950年代後半から変化し続け、60年代以降は海水温が大幅に上昇したことを示している。海水の温暖化は、2014年に発表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に盛り込まれた推計よりも、はるかに速いペースで進行している。
研究チームは、海面に浮かべたロボット装置3000台あまりでネットワークを構成する海洋観測システム「Argo」を使って、海水温や塩分濃度を継続的に測定。過去の温度や調査結果と比較した。
海水温の上昇は海面の上昇を引き起こし、沿岸部の洪水や海氷の減少につながる。海氷が減れば温暖化はさらに加速して、ペンギンやホッキョクグマなどの生存が脅かされる恐れもある。
さらに、降雨量が増えてハリケーンなどの熱帯低気圧の勢力が増し、影響が長期化する。
今回の発表を行った米国立大気研究センターの専門家によると、2018年に米国を襲ったハリケーン「フローレンス」や、その前年の「ハービー」が発生した場所は、特に海水温が高かった。