グリーンランド氷床、過去数百年に「例がない」速度で融解
(CNN) グリーンランドの巨大な氷床には世界の海水面を約7メートル上昇させるだけの水が含まれているが、その氷は過去数百年に「例がない」速度で融解が進んでいる――。そんな研究結果が6日の英科学誌ネイチャーに発表された。
研究によると、グリーンランドの氷の融解は過去20年で急速に進んだ。これ以前は、1800年代中盤の産業革命初期の時期から比較的安定した状態が続いていた。
今日の融解速度は産業革命前の水準を50%上回っており、20世紀の水準と比べても33%加速しているという。
論文の共著者でウッズホール海洋研究所に所属するサラ・ダス氏は研究結果について、「グリーンランドで今日起きている融解は前例がないものであり、長期的にみて異例だということを示せた」と語った。
過去に比べてどれだけ速く氷が後退しているのか特定するため、研究チームは信号柱ほどの大きさのドリルを使い、コア部分の試料を採取した。
試料は海抜約1800メートル以上の部分から採取したもので、過去数世紀にわたる融解の様子を探る手がかりが得られた。
グリーンランド氷床の融解は、地球規模での海面上昇の最大の要因となっている。科学界では、今後数十年で沿岸部の都市などが水没する可能性があると予想。世界の10大都市のうち8都市は沿岸付近にあり、世界人口の40~50%が海面上昇の影響を受けやすい沿岸部に住んでいる。