高齢者の認知症リスク、抗コリン剤処方で50%近く上昇 英研究
(CNN) 抗うつ薬やぼうこう炎などの治療薬として使われる抗コリン剤と、認知症のリスク増大との強い関係を指摘する研究が、24日の米医学誌JAMAに掲載された。
英ノッティンガム大学の研究チームは、抗うつ薬や、ぼうこう炎、精神疾患、てんかんなどの治療薬に使われる抗コリン剤と、認知症との関係について調査した。
その結果、抗コリン剤を処方されていた人は、1日量の合計が10年間で1095回を超えると、処方されなかった人に比べて認知症のリスクが50%近く増大することが分かった。これは高齢者が強い抗コリン薬を3年以上にわたって毎日服用した量に匹敵する。
強い抗コリン剤と認知症のリスクについては以前から関係が指摘されているが、今回の研究では一層強い関係が示されたと研究チームは解説する。
一方で、「こうした抗コリン剤が認知症を引き起こすのかどうかについて、確固たる結論を引き出すことはできない」と述べ、抗コリン剤を服用している患者が、医師に相談せずに服用をやめることは勧めないとした。
今回の研究では、55歳以上の英国人28万4343人について2004~16年のデータを分析し、処方薬と認知症との関係を調べた。特に処方されることの多い抗コリン剤は、抗うつ薬のほか、目まいや乗り物酔いや嘔吐(おうと)の治療薬、過活動ぼうこう炎などの治療薬だった。
認知症と診断されていたのは5万8769人。抗コリン剤を服用している人と服用していない人を比べると、認知症リスクは少量の副用の場合で1.06倍、量が多い場合は1.49倍になることが分かった。
因果関係は証明されていないものの、「もし因果関係があったとすれば、認知症の約10%は抗コリン剤に起因していることになる」と研究チームは解説している。