ビッグベンに第2次大戦期の損傷、改修作業で見つかる
ロンドン(CNN) 「ビッグベン」の愛称で知られる英国会議事堂の時計塔について、改修に従事する作業員らがこのほど第2次世界大戦の時代にさかのぼる「広範囲な」損傷を発見した。これにより改修費用は1860万ポンド(約26億円)増える見通しだ。
時計塔と同じ建物に議場がある英下院は声明を出し、汚れやアスベストとならんで、ナチスドイツによるロンドン空襲の際に生じた損傷が塔内で見つかったことを明らかにした。
ビッグベンは19世紀に完成したゴシック様式の建物で、2017年から改修が行われている。新たな損傷の発見により、改修費用は6110万ポンドから7970万ポンドに跳ね上がった。工事の完了は当初の計画通り、21年を見込んでいる。
複雑な加工の彫刻数百点でも腐食や損傷を確認したほか、有毒な含鉛塗料の広範な使用、文字盤のガラスの破損も明らかになった。改修計画を統括する委員会によると、時計の専門家についても追加の人員が必要だという。
こうした構造上の問題点は、プロジェクトチームが内部の調査に着手して初めて発覚した。声明では、ビッグベンの177年の歴史の中でこのような調査が行われたことはなかったとしている。
ビッグベンの改修が完了したすぐ後には、35億ポンドを投じたウェストミンスター宮殿の修復工事が始まる予定だ。ビッグベンが併設し、議事堂として使用される同宮殿は老朽化が著しい。建物を修復する間、議員らは別の議場への移転を余儀なくされるとみられる。