99歳の英退役軍人、歩行器使ったチャレンジで6.5億円集める 医療機関に寄付へ
(CNN) 新型コロナウイルスの感染拡大が続く英国で、99歳の元軍人の男性が歩行器を使って自宅の庭を延々と歩くチャレンジで募金活動を始めたところ、480万ポンド(6億4700万円)を超える寄付金が集まった。寄せられた金額は国営医療制度「国民保健サービス(NHS)」の支援に使われる予定。
今月30日に100歳の誕生日を迎えるトム・ムーアさんは9日、NHSの支援組織「NHSチャリティーズ・トゥギャザー」のための寄付金を募ろうと、歩行器を使って自宅の庭を何周も歩くチャレンジを始めた。同支援組織は今回の新型コロナウイルス危機を受け、英国内の病院で働くスタッフ、ボランティア、患者らのための資金集めを行っている。
イングランド北部のヨークシャーに住むムーアさんは当初、100歳の誕生日までに毎日庭を歩いて10周すると明言。集める寄付金の額は1000ポンドに設定していた。
ところがチャレンジ開始から24時間足らずで目標金額に到達したかと思うと、その後も寄付が相次ぎ、ここまでで480万ポンドを突破するに至った。
現時点でムーアさんは庭を80周歩いており、16日までに100周を達成する計画だ。
第2次世界大戦中に英国陸軍に加わったムーアさんはインド、インドネシア、英国で任務に就いた。軍隊を退いてからはコンクリート企業の経営に携わってきた。
若き日のトム・ムーアさん/Courtesy Hannah Ingram-Moore
2006年に妻と死別してからは、娘夫婦に孫2人と暮らす。娘のハンナさんはCNNの取材に答え、ムーアさんが人工股関節置換手術を受けてから毎日運動を続けていると説明。ハンナさんの提案で、庭を歩く運動に目標を設定し、寄付を募ることにしたという。
ハンナさんの息子で16歳のベンジー君は、祖父のチャレンジを応援するためツイッターのアカウントを開設。こちらにも4万8000人を超えるフォロワーが殺到している。
ハンナさんによれば、ムーアさんは寄付金の規模に「打ちのめされ」つつも、英国民の寛大さに対して強い感銘を受け、感謝の念を抱いているという。