病菌が操る「ゾンビゼミ」、腹部脱落したまま飛行 交尾で感染拡大

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マッソスポラ菌に感染したセミ/WVU Photo/Angie Macias

マッソスポラ菌に感染したセミ/WVU Photo/Angie Macias

(CNN) 病菌に感染して心と体を操られ、「ゾンビ」と化して仲間の間で感染を拡大させるセミの集団が見つかったとして、米ウェストバージニア大学の研究チームが学会誌に調査結果を発表した。

同大学の発表によると、セミに感染する病菌の「マッソスポラ」は、幻覚作用のあるマジックマッシュルームと同じ成分をもち、宿主に感染すると「B級ホラー映画」のような症状を引き起こす。

セミに感染したマッソスポラ菌は、まずセミの生殖器と尾部、腹部を食い落とし、菌の胞子と入れ替える。胞子に入れ替えられた腹部は、徐々に「消しゴムのように摩耗していく」という。

感染したセミは6月にウェストバージニア州で見つかった。マッソスポラ菌に感染したセミの集団が発見されたのは、これで3度目だった。

感染したセミは、体のほぼ3分の1がマッソスポラ菌の胞子に入れ替えられているにもかかわらず、そのまま動き続ける。これには宿主を殺すのではなく、生かし続けて操ることで、胞子を最大限にまき散らそうとする狙いがある。

マッソスポラ菌に感染したセミ/Matthew Kasson
マッソスポラ菌に感染したセミ/Matthew Kasson

「感染したセミは、体の3分の1が脱落しているにもかかわらず、まるで何事もなかったように、交尾や飛行などの活動を続ける。これは昆虫を殺す菌としては極めて特異だ」。論文共著者のマシュー・カッソン氏はそう解説する。

ゾンビゼミは繁殖機能を失っているにもかかわらず、感染を広げる目的で健康なセミと交尾しようとする。

菌がオスのセミを操って、交尾を誘うメスの羽ばたきを真似(まね)させ、寄ってきたオスに感染させることもあるという。

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