豪州の山火事で発生した煙、巨大噴火に匹敵する量 新研究

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オーストラリアの山火事で発生した大量の煙は成層圏にまで到達したという/John Moore/Getty Images

オーストラリアの山火事で発生した大量の煙は成層圏にまで到達したという/John Moore/Getty Images

(CNN) 2019年から20年にかけてオーストラリアで発生した大規模な山火事は巨大な火山の噴火と同等の量の煙を大気中に放出していたことが、2つの衛星で集めたデータを活用した新研究から明らかになった。

この年の山火事シーズンは史上最悪級の被害を出し、10万平方キロの土地が焼失。死んだ動物の数は10億匹を超えたとみられ、多くの種が絶滅の危機に近づいた。

イスラエル生物学研究所とワイツマン科学研究所の研究者らが調べたところ、山火事の結果、空気中に長時間浮遊する微粒子「エアロゾル」の光学的厚さ(AOD)は過去最大を記録したという。これは山火事で立ち上った煙が成層圏にまで達したことによる。

20年初頭の時点で、煙は上空35キロメートルまで届き、大気の2番目の層である成層圏に到達していた。これは旅客機が飛行する高度をはるかに上回る。

大気の層で最も下に位置する対流圏であれば、エアロゾルが漂う時間は数分から数週間程度。しかしそれより上の成層圏では雨雲が発生せず、汚染物質が洗い流されないため、エアロゾルは数カ月、さらには数年にわたって残ることがあると、研究では述べている。

南オーストラリア州カラッタで起きた山火事で立ち上る煙(2020年1月11日)/Lisa Maree Williams/Getty Images
南オーストラリア州カラッタで起きた山火事で立ち上る煙(2020年1月11日)/Lisa Maree Williams/Getty Images

これは通常、火山が爆発した時にみられる現象で、成層圏にエアロゾルが到達することにより気候が影響を受け、降水量や土壌の状態に変化を及ぼすことがある。ただ噴火のようにすさまじい爆発を伴わない山火事で煙が成層圏に届くのは、はるかにまれだ。

研究によると数カ月にわたるオーストラリアでの大規模な山火事の後、南半球のエアロゾルのレベルは、それまでの17年間の平均と比較して50%以上増加した。これは20世紀で2番目の規模だったピナトゥボ山の噴火で計測された水準をもしのぐという。

煙が成層圏にまで達したのには複数の要因があるとみられる。山火事は勢いが激しく、複数の州をまたいで広範囲に燃えた。期間も数カ月と長かったことから単発の山火事よりも大量の煙を発生させたと考えられる。また山火事の起きた地域が高緯度だったため、対流圏と成層圏の境目に当たる対流圏界面が低い位置にあり、結果として成層圏に煙が届きやすくなったとも説明できる。

ニューサウスウェールズ州バンダヌーンで家屋の消火作業を行う消防士ら(2020年1月23日)/Noah Berger/AP
ニューサウスウェールズ州バンダヌーンで家屋の消火作業を行う消防士ら(2020年1月23日)/Noah Berger/AP

研究は18日刊行のサイエンス誌に掲載された。

当該の山火事のシーズンは19年6月に始まり、翌年の春まで続いた。ニューサウスウェールズ州での山火事は大半が20年3月までに完全に鎮火した。シーズン最後の山火事は西オーストラリア州で5月に鎮火した。

オーストラリア議会によると、これらの山火事のために消防士9人を含む33人が死亡。全国で3000軒以上の家屋が破壊された。

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