大気環境がロックダウンで改善、世界の84%
(CNN) 昨年1年間の世界の大気汚染状況をまとめた報告書で、新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)措置などにより、8割以上の国で汚染が軽減していたことが分かった。
大気汚染の実態を監視するスイス企業、IQエアが世界106カ国の都市について、有害な微小粒子状物質PM2.5の濃度などを調べた。
その結果、調査対象のうち65%の都市、84%の国で大気環境の改善がみられた。報告書は、各地で一斉に緊急行動を取ることにより、大気環境の改善は可能だということが示されたと指摘している。
PM2.5濃度の低下が最も顕著だった都市は、期間限定の厳しい行動制限を実施したシンガポール、北京、バンコクだった。ただし今後は経済活動の再開にともない、汚染レベルが再び上昇するとみられる。
汚染が最も深刻な都市は、引き続き南アジアと東アジアに集中していた。バングラデシュ、中国、インド、パキスタンの4カ国でワースト50のうち49都市を占めた。
ワースト1は中国・新疆ウイグル自治区のホータン。PM2.5濃度の年平均値は1立方メートル当たり110.2マイクログラムと、世界保健機関(WHO)が定めた目標値の11倍に達した。3月には最悪の264.4マイクログラムを記録した。
ホータンに続く13都市は全てインドが占めている。
昨年各地で発生した山火事も、大気汚染に大きく影響した。前年に比べて汚染が特に悪化したブラジル・サンパウロ、米ロサンゼルス、豪メルボルンの3都市は、いずれも山火事の被害を受けていた。