感染力強い変異ウイルス、重症化にはつながらず 2つの研究で示唆
その結果、「B.1.1.7に感染して入院した患者の重症度と、B.1.1.7以外の患者の重症度の間に著しい違いはないことが初期段階で再確認された。我々が新興の変異株の時代へと差しかかる中で、この研究は、同じ疑問に対して再び答えを出すためのモデルを提供する」としている。
検体は11月9日~12月20日にかけ、患者の鼻やのどから綿棒で採取した。そのうち341例についてゲノム解析を行った結果、58%に当たる198人の感染がB.1.1.7によって引き起こされていることが判明。残りはコロナウイルスの別の株が原因だった。
同変異株とそれ以外の株の間に重症化や死亡に関する差異は認められず、重症化したり死亡したりした症例はB.1.1.7に感染した患者が36%だったのに対し、非B.1.1.7の患者は38%だった。死亡例に限ると、28日以内に死亡した患者はB.1.1.7感染者の16%、非B.1.1.7感染者は17%だった。
一方で、B.1.1.7感染者の方が非B.1.1.7感染者に比べて全体的に年齢が低く、併存疾患は少なかった。「恐らくこれは、地域社会でこの変異株が蔓延して感染が増えている可能性、あるいは入院の確率の違いを示唆しているのかもしれないが、病院の患者を対象とするこの研究でそれを探ることはできなかった」
ランセット・パブリックヘルス誌に発表された研究は、新型コロナウイルス検査で陽性と判定され、英国で開発された新型コロナ症状研究アプリに9月28日~12月27日の間に症状を記録した3万6920人のデータを、英国の新型コロナウイルス感染に関する統計と比較して、英国と米国の研究チームが分析した。