コロナ入院と救急診療で人種間格差が存在 米CDC研究
(CNN) 米疾病対策センター(CDC)は12日、新型コロナウイルス感染症で入院したり救急診療を受けたりした患者の割合について、白人と非白人との間で格差があるとの研究結果を発表した。
CDCのワレンスキー所長は新型ウイルスに関するホワイトハウスでの会見で、米国内の医療格差が浮き彫りになったとの認識を示し、「格差を認めて公平なワクチン供給に尽力する必要がある」と強調した。
この日に報告された研究2件のうち、1件では昨年3~12月に新型ウイルス関連で入院した患者の割合を分析。人種的、民族的少数者は、白人より入院する率が高かったことが確認された。米国内のすべての地域で、入院する患者の割合は中南米系が最も大きかった。
特に4~7月は格差が最も大きく、その後は白人の入院患者が増えるにつれて格差が縮小した。研究チームはこれについて、人種的少数者のリスクが低減したわけではなく、白人のリスクが増大した結果だと指摘している。
それでも12月の時点で全地域の格差は残り、特に西部の中南米系住民で入院するケースが目立っていた。このグループの感染リスクや重症化リスクが高かったためとみられる。
2件目の研究では13の州を対象として、昨年10~12月に新型ウイルス感染症で救急診療を受けた患者の対人口比を調べたところ、白人に比べて中南米系や先住民は1.7倍、黒人は1.4倍に及んだことが分かった。中南米系と先住民は全年齢層で、黒人は75歳以上で、それぞれ白人より比率が高かった。
ただこの13州は全米平均と比べて白人人口の比率が高く、全国的には一般化できない可能性もある。
研究チームはこの結果を踏まえて、非白人グループを優先した予防態勢、基礎疾患の管理、学校や職場の環境整備を進め、検査、ワクチン体制を強化することが重要だと指摘している。
ワレンスキー氏は同時に、新型ウイルスのワクチン接種を1回以上受けた人の割合も人種別に紹介した。
それによると、黒人は米人口全体に占める割合が12%だが、ワクチンを打った人は8.4%。人口比率18%の中南米系も、接種者は10.7%にとどまっている。
同氏はCDCの対応について、人種的少数者へのワクチン接種や検査を進める体制の拡充に向け、予算を増額していると説明した。