インドのワクチン接種1億回超す、新規感染者は過去最多
(CNN) 新型コロナウイルスの感染が急激に拡大するインドで11日、新規感染者が過去最多を記録した。当局はワクチンの接種を急ピッチで進めている。
保健省によると、同国のワクチン接種回数は11日、1億回を突破した。接種開始からわずか85日での到達で、世界で最も急速に接種が進む国の一つとなる。
一方、同日確認された新規感染者は15万3000人に迫り、死者は839人に達した。
同国の人口約14億人のうち、累計感染者数は1350万人と、米国、ブラジルに次ぐ世界3位。死者数は17万人に迫っている。
感染拡大が特に激しいデリー首都圏のケジリワル首相は、圏内で11日の新規感染者が1万人超を記録したと発表。デリーが感染の第4波に襲われているとの認識を示した。
ニューデリーではこの1週間に少なくとも57人の医師が、新型ウイルス検査で陽性反応を示した。
サーガンガラム病院では、新型ウイルスワクチンの接種を2回とも済ませていた医師ら37人が陽性となった。いずれも軽症だが、うち32人は自宅で隔離、5人は家族への感染を避けるため病院に収容されたという。
また全インド医科大学は9日、医師少なくとも20人の感染が確認されたと発表した。このうち研修医2人は、2回のワクチン接種を完了していた。全員が軽症で自宅隔離中とされる。
感染地域のワースト10のうち8カ所は、西部マハラシュトラ州に集中している。州内では公園やショッピングセンター、映画館、宗教施設などが閉鎖された。
州都ムンバイなどの大都市では昨年、ロックダウン(都市封鎖)措置で職を失った出稼ぎ労働者が一斉に帰省する事態となった。今回もその繰り返しになることが懸念されている。
一方でモディ首相は8日、11日から4日間のワクチン一斉接種計画を発表した。1日当たりの接種回数は300万以上と、米国や中国と並ぶピッチに達している。
ただし、マハラシュトラ州などの一部地域ではワクチンの供給が追いつかず、接種が停止されている。
パンジャブ州にある世界最大のワクチンメーカー、セラム・インスティチュート・オブ・インディア(SII)では英アストラゼネカ製のワクチンを生産し、ワクチン分配の国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」の下で外国に輸出してきた。しかし国内の感染拡大により、今月は出荷の遅れが見込まれている。
野党からは、外国への輸出より国内での接種を優先するべきだとの声が上がっている。