太陽に最も近い恒星、太陽の100倍のフレアを放出
(CNN) 太陽に最も近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」から昨年、太陽の100倍強力なフレアが放出されたことが分かった。学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に21日発表された研究で明らかになった。
プロキシマ・ケンタウリは太陽から約4光年の距離にある。小型の暗い赤色矮星(わいせい)で、質量は太陽の8分の1しかない。周回軌道上には少なくとも2つの惑星があり、そのうち1つは地球に似た惑星の可能性がある。
極めて強力なフレアは昨年5月1日、世界の天文学者のチームが地上および宇宙の望遠鏡計5基を使って観測した。フレアの持続時間はわずか約7秒だった。
これまでに記録されたプロキシマ・ケンタウリのフレアとしては過去最大となる。恒星の表面付近で始まったフレアは、天の川銀河全体で見ても過去最大級に入る規模となった。
論文の著者でコロラド大学ボルダー校准教授のメレディス・マクレガー氏は声明で、「紫外線波長で見たところ、同星は数秒で通常の明るさの1万4000倍になった」と明らかにした。
フレアは恒星の磁場に変化が起き、電子が光速に近いスピードに加速することで発生する。こうした高速の電子は、同星の大部分を構成する帯電したプラズマと相互作用。これにより電波やガンマ線を含むさまざまな波長のエネルギーが噴出する。
これほど大量のエネルギーが放出されると、プロキシマ・ケンタウリを周回する惑星も影響を受ける。
論文の共著者でカーネギー科学研究所の研究員、アリシア・ワインバーガー氏は、「プロキシマ・ケンタウリは太陽に年齢が近く、数十億年にわたって恒星系内の惑星に高エネルギーのフレアを浴びせてきた」と説明。「こうした極めて強力なフレアを複数の観測施設で調べることで、系内の惑星がどのように耐え抜き、どのような変化を被った可能性があるのかを理解することができる」としている。