渡り鳥を守れ フィラデルフィアでビル一斉消灯、数千羽の衝突死受け
(CNN) 米ペンシルベニア州フィラデルフィアで、渡り鳥数千羽がビルに衝突して命を落とした出来事を受け、市内のビルがこの春から鳥たちを守るために照明を落とす取り組みを続けている。
自発的に照明を落とす措置は、同市で結成された団体「バード・セーフ・フィリー」の呼びかけで始まり、今月30日まで継続する。目的は、毎年春になるとフィラデルフィア上空を通過するおよそ1億羽の渡り鳥の命を守ることにある。
地元ドレクセル大学の専門家ロバート・ペック氏によると、渡り鳥は太陽や月、星の明かりを頼りに飛行する。しかし春と秋は霧や雨が多いために低空飛行を強いられることが多く、都会の照明に目がくらんで方向が分からなくなることがあるという。
「突如としてあらゆる方向から光がやって来て、それに圧倒される」「そこで方向転換してビルや壁に衝突する」(ペック氏)
取り組みに参加する市内のビルは、午前0時1分~6時まで、特に高層階で不必要な照明を消し、ロビーや吹き抜けの照明を落としている。
夏の夜のフィラデルフィアの様子/Jumping Rocks/Universal Images Group/Getty Images
この措置のきっかけとなったのが、昨年10月2日、市内のビルに衝突して数千羽が命を落とした出来事だった。中心部では歩道上に鳥の死骸が散乱し、「地面には死んだ鳥や死にかけた鳥が散らばっていた」とペック氏は振り返る。
光害を減らす取り組みはほかにも米国内の33都市で実施されているが、渡り鳥が衝突する問題はほとんど解決できていない。バード・セーフ・フィリーによれば、人工構造物に衝突して死ぬ鳥は、毎年最大で10億羽に上る。フィラデルフィアでは鳥が衝突して死ぬ現象が1890年代から記録されていた。