川の魚も薬物中毒に、水路に堆積したメタンフェタミンが影響 チェコ研究
(CNN) 淡水にすむサケの仲間のブラウントラウトは、水路に堆積(たいせき)した覚醒剤の成分メタンフェタミン中毒になる可能性がある――。チェコの首都プラハにあるチェコ生命科学大学の研究チームが6日、そんな研究結果を発表した。
研究チームは水に含まれる禁止薬物によって魚類の行動が変化するかどうかを調べるため、ブラウントラウト40匹を水槽に入れ、淡水河川と同じ濃度のメタンフェタミンを含む水の中で8週間飼育した。
その後、この40匹をきれいな水を入れた水槽に移し、禁断症状が出ているかどうかチェックするため、1日おきに、薬物が入った水と入っていない水を選ばせた。これとは別に40匹のトラウトを対照群として利用した。
実験の結果、メタンフェタミン入りの水槽で8週間過ごしたトラウトは、淡水に移った後の4日間、薬物入りの水を選択した。
これはトラウトに禁断症状が出ていることの表れだと研究チームは解説する。
メタンフェタミン中毒になった魚はそうでない魚に比べて活動が少なく、薬物にさらされてから最大で10日間、脳に薬物の痕跡が見つかった。
この結果について研究チームは、たとえ少量でも水の中に薬物が含まれていれば、生物に影響を与えうることが分かったと指摘する。
研究チームによると、薬物は使用者から排泄(はいせつ)されて下水道を抜け、下水処理施設から水路に排出される。下水処理施設はこの種の薬物を処理できる設計にはなっていないという。
「魚類はアルコールからコカインに至るまで神経を活性化させる薬物の多くに対して敏感で、人と同じようにドーパミン報酬系回路に関連した薬物中毒を発症する可能性がある」。研究者はCNNの電子メール取材にそう解説している。
実験に使った魚は安楽死させ、脳の組織の分析を行った。