1.5度の温暖化で健康に「壊滅的」影響、医学誌230誌が共同論説で警告
(CNN) 人の健康は気候危機によって既に損なわれつつあり、各国の政府が地球温暖化対策にもっと力を入れない限り、取り返しのつかない壊滅的な影響を及ぼす恐れがある――。230誌以上の医学誌の編集者が6日、共同論説の中でそう警鐘を鳴らした。
論説では、気候危機と健康への悪影響の間には確立された関係があると指摘。過去20年の間に熱中症関連の死者や脱水症、腎機能低下、皮膚がん、熱帯感染症、精神衛生問題、妊娠の合併症、アレルギー、心肺疾患が増え、そうした症状に伴う死者も増加しているとした。
その上で、「世界の気温上昇と自然界の破壊によって既に健康が損なわれている。この状況については専門家が何十年も前から警鐘を鳴らしてきた」と強調した。
さらに、世界の平均気温が産業革命前の水準より1.5度上昇し、生物多様性が失われれば、「取り返しのつかない壊滅的な健康被害」を生じさせる危険があると指摘。各国政府は地球温暖化を1.5度に抑える計画を打ち出しているが、その対策は不十分で、既に1.2度前後の温暖化が進んでいるとした。
「世界が新型コロナウイルス対策に追われる状況にあっても、パンデミックが過ぎ去るまで排出削減を待つわけにはいかない」と論説は述べ、新型コロナ対策のために「前例のない拠出」を行ったのと同じ精神で、気候危機に対応するよう促した。
論説を掲載した英医学誌BMJは、これほど多くの医学誌が一丸となって同じ声明を掲載したことは今までなかったと強調、「世界が今直面している気候変動緊急事態の重大性を反映している」とした。