子どもを保護する太古のクモ、9900万年前の琥珀に姿残す
ラゴノメゴピダエは頭部の前側にある大型の目により識別できる。存在が知られている他の化石も調べた結果、目の中に輝板(タペタム)があることが判明。これは他の夜行性動物も同様で、猫の目が暗闇で光る様子を思い浮かべてもらえばいい。
このクモは現代のハエトリグモに外見が似ているものの、両者はまったく関係ない。
クモの母親は子どもを保護する姿勢を示すことで知られる。ただ、化石として残されている例は極めて珍しい。
「クモが最初から母親としての本能を有していたのは予想通りだが、約1億年前の化石から実際に物理的な証拠が得られたのは素晴らしいこと」とセルデン氏は話す。
だが、現存する多くのクモの種に見られる母親の保護行動は何を意味しているのだろうか。
研究チームは「親による保護行動とは、子どもの適応性を高める全ての行動を指す。親の生存と将来の生殖を犠牲にすることも多い」と指摘。「保護行動の進化は動物の環境適応において画期的な出来事であり、社会性の進化にとって重要な意味合いを持つ」と述べている。
節足動物では他にも昆虫や甲殻類などがこの種の保護行動を示す。
セルデン氏らは今後も引き続き、「時間の中で凍りついた行動」を探し求めていく考えだ。