英エリザベス1世の顧問が使用した「霊視鏡」、アステカ起源と判明
研究チームは今回、地球化学分析を駆使して、黒曜石製の遺物4点にX線を照射。照射により遺物からX線が放出され、黒曜石に含まれる元素が明らかになったことから、これを手がかりに遺物の組成を決定した。ディーの鏡以外にもアステカ製の鏡2点や、黒曜石の長方形の石版を調べた。
分析の結果、4点はいずれもメキシコの黒曜石を素材としていることが判明した。ディーの鏡とそれに類似した鏡はメキシコのパチューカ、3枚目の鏡と石版はウカレオの黒曜石で作られていた。
研究結果は6日付の考古学誌「アンティクイティー」に発表された。
アステカの鏡の描写/The Trustees of the British Museum/Antiquity Publications Ltd
研究者の推定では、ディーの鏡は500年ほど前の品とみられ、スペインによる1521年のメキシコ征服を控えた最後の10年間につくられた可能性が高い。
「スペインの征服者エルナン・コルテスは時折、スペインの宮廷に送る品をアステカの職人に注文していた」とキャンベル氏。「そのため、ジョン・ディーが持っていたような円形の鏡の一部は、欧州に送る目的で、アステカ帝国征服時にアステカの職人によって特別に製造された可能性もある」という。