鉄器時代のヨーロッパ人、ブルーチーズとビール味わっていた 排泄物の分析で判明
(CNN) 鉄器時代のヨーロッパ人も、現代人と同様にブルーチーズやビールの味を楽しんでいたとする研究結果がこのほど発表された。当時の排泄(はいせつ)物の分析から明らかになったという。
一般的に、人間の糞便(ふんべん)が数千年にわたって残存することはあまりない。ただ乾いた洞窟や砂漠地帯、水につかった環境、氷で覆われた居住地など、場所によってはいくつか例外的なケースもある。
今回分析対象となった排泄物は、世界遺産にも登録されたオーストリア西部の先史時代の岩塩抗で見つかった。研究チームはそれらのサンプルから、ブルーチーズとビールの製造に使用する2種類の菌類の存在を確認したという。
坑内の塩分濃度の高さと8度ほどで安定した温度とが、サンプルを良好な状態に保っていたとみられる。研究チームによれば、鉄器時代の欧州でブルーチーズが食され、ビールが飲まれていたことを示唆する分子レベルでの証拠が見つかるのは今回が初めて。
ウィーン自然史博物館の考古学者で論文著者を務めたケルスティン・コワリク氏はCNNへの電子メールで「発酵食品が長期にわたる人類の歴史の中で重要な役割を果たしているのを示すことができた」「調理が洗練されていったのは、発酵などの複雑な食品加工技術のおかげだ。おそらくそれは単に食料を保存するためではなく、特定の味わいを引き出す目的もあっただろう」と語った。
そのうえで乳製品の長い歴史の中に、2700年近く前の鉄器時代からすでにブルーチーズが作られていたとする証拠が新たに加わったとの見解を示した。
研究者らはサンプルの中に存在する微生物、DNA、タンパク質を詳しく分析。現地で暮らしていた当時の人々の食生活を推測した。
サンプルからはふすまをはじめ複数の穀物に由来する植物断片が見つかった。繊維や炭水化物が豊富なこれらの食品に加え、ソラマメや果実、ナッツ類、動物性食品などからタンパク質を補っていたとみられる。
菌類について調べたところ、ペニシリウム・ロックフォルティにサッカロマイセス・セレビシエといったチーズやビール、パンの中で見つかる微生物のDNAが大量に含まれていた。研究者らによれば、これらは初期の発酵文化の一部と想定されるものであり、大変驚くべき発見だという。