ホホジロザメが人間を噛む理由判明か
(CNN) ホホジロザメが人間を噛(か)むのは、アザラシやアシカと間違えているから――。そんな説が長年唱えられてきたが、サメが世界をどのように見ているかをシミュレーションした新たな研究の結果、これが事実である可能性が示された。
研究を行ったのは豪シドニーにあるマッコーリー大学のチーム。若いホホジロザメの目から見ると、遊泳中もしくはパドリング中の人間はアザラシやアシカに良く似ていることを突き止めた。
研究チームの27日の声明によると、ホホジロザメはオオメジロザメやイタチザメと並び、サメが人間を噛むケースの大半を占めるという。
世界自然保護基金(WWF)によれば、ホホジロザメは世界最大の捕食性の魚で、獲物の体を噛みちぎり、それを丸のみすることで知られる。
サメが人を噛む事例はまれだが、マッコーリー大の研究者は2019年、過去20年でこうしたケースが「大幅に」増えていることがわかったと報告していた。
研究チームは今回、アザラシやアシカ、人間の泳ぐ姿や、長方形の浮遊物、人間が大小のサーフボード上でパドリングする姿をとらえた水中動画を比較。撮影には固定式カメラと移動式カメラの両方を使用した。
続けて、サメに関する神経科学のデータを用いて動画にフィルターをかけ、若いホホジロザメが様々な物の動きや形状をどのように見ているのかを再現したモデリングプログラムを作成した。
その結果、遊泳中もしくはパドリング中の人間は、若いホホジロザメの目から見てアザラシやアシカに良く似ていることが判明。人間を噛むのは見間違いが原因という説を裏付ける結果となった。
大半のサメは色を見分けられないため、サーフボードやウェットスーツの色はサメの目にはほとんど違いを生み出さないという。
研究結果は27日、英王立協会の学術誌「ジャーナル・オブ・ザ・ロイヤル・ソサエティ・インターフェース」に発表された。