牙のない雌ゾウが増加、密猟に対応する進化 モザンビーク

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牙のない雌のゾウに麻酔をかけ、遺伝子サンプルを採取する様子(2018年)/Rob Pringle

牙のない雌のゾウに麻酔をかけ、遺伝子サンプルを採取する様子(2018年)/Rob Pringle

(CNN) アフリカ・モザンビークのゴロンゴーザ国立公園で、牙のない状態で生まれてくる雌のゾウが増えている。科学者はこれについて、15年に及ぶ内戦で象牙目当ての密猟がまん延したことへの進化上の反応との見方を示す。牙がないことへの遺伝子ベースでの理解が進み、そうした要因が雌だけに影響を及ぼすように見える理由の解明も進んできている。

公園内で活動するゾウの専門家がこの現象に気づき始めたのは、1992年の内戦終了後だ。現場のデータや古い映像の解析の結果、牙のない雌ゾウの割合が1972年から2000年にかけて3倍以上に増えたことが判明。アイダホ大学のライアン・ロング准教授によると、この間、ゾウの個体数は約2000頭から約250頭に急減した。

ロング氏はメールで「内戦中、ゴロンゴーザは実質的に紛争の中心地となっていた」と説明。その結果、一帯には多数の兵士が展開し、武器弾薬の購入のためにゾウを殺して象牙を売る動機が多く生まれたと指摘した。結果として密猟が非常に激しくなったという。

21日付の米科学誌サイエンスに発表された論文によると、研究者は現在、牙のない状態になる遺伝的な要因や、雌のゾウのみに影響が出る理由について以前より深い理解に達している。

今回の分析では、牙のない雌のゾウは牙のある雌に比べ、上記の28年間での生存確率が5倍あまり高かったことが判明。従って、こうした適応は偶然の出来事ではない可能性が高い。

密猟のない環境でも牙のない雌のゾウは自然に生まれるが、通常、それは少数のゾウにとどまる。1970年代のゴロンゴーザでは牙のない雌ゾウは18.5%だったが、30年後には51%に増えた。

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