「シッティング・ブル」のひ孫を特定、新たなDNA技術駆使し分析
(CNN) 北米先住民ラコタ・スー族のリーダーとして名高い「シッティング・ブル」ことタタンカ・イヨタケのひ孫にあたる男性が、革新的なDNA技術を駆使した分析を通じて特定された。存命中の血縁者では本人に最も近い人物となる。
分析にはシッティング・ブルの髪の毛の房に含まれた遺伝子片から抽出した常染色体のDNAを使用した。
このほかの技術として、母親からのみ受け継がれるミトコンドリアDNAや父親に由来するY染色体を調べる方法があるが、シッティング・ブルには娘しかいなかったため、後者は使用することができなかった。また上記の髪の毛の房はスミソニアン博物館に1世紀以上保管される中で損傷が進んでおり、これらの方法でDNAを抽出するのが難しい状態だった。
27日刊行のサイエンス・アドバンシーズ誌に掲載された論文によると、当代の個人と歴史上の人物との家族関係がこれほど限られた量の古いDNAをもとに確認されたのは、過去の知見において今回公表した事例が初めてとなる。双方の血縁者がここまで遠い関係にあるのも前例がないという。
DNAが抽出されたシッティング・ブルの髪の毛の房/Eske Willerslev
科学者らは14年の歳月を費やして、長さ5~6センチの髪の房から分析可能なDNAを抽出する方法を突き止めた。常染色体DNAの半分は父親から、もう半分は母親から受け継がれるため、これを調べれば子孫が男系か女系かにかかわらず遺伝的な適合の有無を確かめることができる。
今回シッティング・ブルのひ孫と特定されたアーニー・ラポイントさんは報道向けの発表で、これまで自身とシッティング・ブルとの血縁関係に疑問を唱えようとする人々がいたと指摘。遺伝子分析を通じて両者の血縁関係を確定し、臆測に終止符を打ちたかったと語った。
シッティング・ブルの名が最もよく知られているのは、ジョージ・アームストロング・カスター中佐率いる騎兵隊に勝利した1876年のリトルビッグホーンの戦いだ。論文によれば、この戦いの14年後に逮捕され、その過程で射殺されたという。