木星の大赤斑の深さが判明、NASA探査機「ジュノー」で観測
両極のサイクロン
科学者らは5年前、ジュノーが収集したデータを使って木星の両極の画像を取得し知見を深めた。南極には五角形を形成する5つのサイクロンが、北極には八角形を形成する8つのサイクロンが存在していることが判明していた。
その5年後、赤外線オーロラマッピング装置を用いたジュノーによる観測で、サイクロンが同じ位置にとどまり続けていることが分かった。
両極のサイクロンは極点へ向かおうとする動きのパターンを示していたが、両極点の上に位置するサイクロンが押し返していた。これがサイクロンが同じ位置にとどまっている説明となるという。
垂直方向への風の循環パターン
木星の雲は東向きと西向きのジェット気流の中に存在し、気流の深さは200マイル(約322キロ)に達する。イスラエルのワイツマン研究所の博士課程に在籍するケレン・ドゥエル氏はそう語る。
研究チームがアンモニアの動きを追跡したところ、ジェット気流の周辺で上下方向や南北方向の動きがあることがわかった。
木星の両半球に存在するこうした循環は、地球の北半球や南半球の中緯度帯にあるフェレル循環と同様の特徴を共有するものとなる。フェレル循環は地球の気候に大きな影響を及ぼしている。
地球のフェレル循環は各半球に1つしかないが、木星の場合は各半球に8つある。地球の場合は地上から6マイル(約9.7キロ)まで延びているが、木星の場合は200マイルあるという。「木星の循環は地球の同様の循環よりも少なくとも30倍は深いことを示している」とドゥエル氏は語る。
バスケットボールのコートほどの幅を持つジュノーは2016年以来木星を周回し、大気の調査の他、磁場や重力場のマッピングを行ってきた。
今年1月にNASAは、ジュノ―によるプロジェクトを25年9月中まで延長すると発表している。
天文学者による大赤斑の観測は1830年から続いている。