HIV感染の米女性、幹細胞移植後に寛解 3例目の報告
HIV耐性の変異は北欧人に多くみられ、非白人へのドナーが見つかる可能性は限られている。今回の患者は混合人種だが、さい帯血移植は成人からの幹細胞移植に比べ、適合の許容範囲が広いという特徴がある。
過去の2人は移植後、ドナー由来のリンパ球が患者の組織を攻撃する「移植片対宿主病(GVHD)」がみられたのに対し、この女性患者はGVHDを起こさなかった。研究者らの間ではGVHD自体に治療効果があるとされてきたが、この説は覆されたと、同チームは指摘する。
ただし研究者らによれば、幹細胞移植が適用されるのはHIV感染者のうち、白血病などの血液がんで移植を必要とするごく一部のケースに限られる。
移植後に最大20%の患者が死亡し、ほかの合併症が起きるおそれもあるという危険な治療であるためだ。
米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も15日のラジオ番組で、「この患者にはたまたま幹細胞移植を必要とする疾患があったが、HIV感染者に幅広く適用されると考えるのは現実的でない」とコメントした。