HIV感染の米女性、幹細胞移植後に寛解 3例目の報告
(CNN) HIV(エイズウイルス)に感染した米国人女性が幹細胞移植を受けた後、ウイルスが検出されない寛解状態を維持しているとの症例研究が発表された。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校医科大学院のイボンヌ・ブライソン博士らが15日の学会で発表した論文の概要によると、患者は中年の女性で、人種の異なる両親を持つ。HIV感染の診断を受けてから4年後に急性骨髄性白血病と診断され、強力な化学療法を受けた。
化学療法で血液細胞が破壊されたため、成人の家族からの幹細胞移植で一時的に補ったうえで、血縁関係のない産婦の胎盤とへその緒から採取された「さい帯血」の移植を受けた。
さい帯血に含まれる造血幹細胞によって、約1カ月後には新たに正常な血液細胞がつくられるという、白血病の根治療法だ。さい帯血を供給する全米規模のバンクがあり、この患者への移植にはHIV耐性の変異を持つさい帯血が使われた。
2017年の移植以降、白血病は再発していない。移植から3年で抗HIV薬の投与を中止したが、それから1年2カ月が経過した時点でHIVも検出されていないという。
HIVに感染し、幹細胞移植を受けて治癒(ちゆ)したとみられる患者は、これまでに2人報告されている。いずれの例も、HIV耐性を持つドナーからの移植だった。