ブルドッグは「不健康」、英獣医科大が不買を呼びかけ
ロンドン(CNN) イングリッシュブルドッグは健康に関する「重大な」懸念があるので、購入は思いとどまってほしい――。英王立獣医科大学(RVC)がブルドッグの健康問題に関する研究結果を発表し、愛犬家にそう呼びかけている。
イングリッシュブルドッグは別名ブリティッシュブルドッグとも呼ばれる犬種。交配によって作り出された極端な体形が原因で健康問題に見舞われているとRVCは指摘し、顔の平たさなど「誇張された特徴」に起因する深刻な健康問題を解消するための「緊急行動」を呼びかけた。
同大の調査では、イングリッシュブルドッグは他の犬種の2倍以上の確率でさまざまな健康問題に見舞われていることが判明。このような姿をした犬の繁殖や購入は思いとどまってほしいとしている。
イングリッシュブルドッグは英国で過去10年の間に人気が急増した。しかし「誇張された短い口先、突き出た下あご、がっしりした体形といった特徴は、呼吸問題、皮膚や耳の病気、目の障害など深刻な健康・福祉問題と関係している」と同大は指摘する。
「悲しいことに、この犬種の平たい顔、顔の深いしわ、荒い呼吸といった問題のある特徴を、重大な福祉問題というよりも、『普通』あるいは『好ましい』と受け止める人がいまだに多い」
同大の研究チームはイングリッシュブルドッグ2662頭の健康状態を、他の犬種2万2039頭と比較した。その結果、ブルドッグは1年の間に他の犬種の2倍以上の確率で健康問題に見舞われていることが分かった。
特に多かったのは皮膚のしわに起因する皮膚炎、チェリーアイと呼ばれる第三眼瞼腺(だいさんがんけんせん)脱出、下あごの突出、短頭種気道症候群(平たい顔の形に起因する重度の呼吸疾患)など。短頭種気道症候群は他の犬種に比べて19倍に上った。
ブルドッグは英イングランドで何百年も前に、力が強く獰猛(どうもう)な闘犬として生み出された。1835年に闘犬が禁止されるとほぼ姿を消したが、愛好家が獰猛性を排することでこの犬種を保存した。
RVCは、この犬種はもっと自然な姿で受け入れられなければならないと訴える。「将来的に、イングリッシュブルドッグは長くなった顔と小さくなった頭、しわのない皮膚をもつ犬として認知され、愛される必要がある」
論文の筆頭筆者でRVC准教授のダン・オニール氏は「全ての犬は生まれながらの平等と健康に値する。自由に呼吸し、完全にまばたきでき、軽々と運動でき、健康でしわのない皮膚をもち、繁殖して出産できなければならない」と語る。
その上で、「イングリッシュブルドッグのように極端な体形をもち、生まれつき不健康な犬が多い犬種については、一般の人がもっと穏やかで健康的な体形の犬を求める役割を果たさなければならない。その時が来るまで、飼い主になろうとする人は、顔の平たい犬を買う前に立ち止まって考える必要がある」と呼びかけた。