10億人の若者に難聴の恐れ、安全でない聴き方に警鐘
(CNN) スマートフォンで聴く音楽やコンサート会場などの大音響によって、世界の若者10億人以上が難聴になる恐れがあるという研究結果が、15日の医学誌BMJグローバル・ヘルスに発表された。
スマートフォンや音楽、映画、番組などに関し、若者は大きすぎる音量で長時間聴き続ける傾向があると論文は指摘している。
論文筆頭筆者のローレン・ディラード氏によれば、世界の12~34歳の若者のうち、推定6億7000万~13億5000万人が安全でない聴き方をしており、そのために聴覚を失う恐れがある。同氏は世界保健機関(WHO)のコンサルタントで米サウスカロライナ医科大学の研究員。
ディラード氏によると、音量が大きすぎると耳の中の感覚細胞や構造に疲労が生じ、その状態が長く続けばダメージが恒常化して難聴や耳鳴り、またはその両方を引き起こしかねない。
そうした状態は、ヘッドホンの使用のほか、コンサートやバー、クラブへ行くことによって生じる。
研究チームは2000~21年にかけて発表された安全でない聴き方に関する科学論文を総合的に調査した。
米疾病対策センター(CDC)が定める安全な騒音レベルの限度は85デシベルで週40時間程度。だが今回の研究によれば、1日に2時間半聴いただけで約92デシベルに相当する。
スマートフォンで音楽を聴く時は105デシベルまで音量を上げることもあり、コンサート会場などでの音量は多くの場合、104~112デシベルに達する。
聴覚を守るためには企業や個人が対策を講じて安全な聞き方を奨励する必要があるとディラード氏は話している。