2023年のいちおしダイエットは、科学的にも裏付けされた地中海式食事法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
最良のダイエット法を選ぶ今年のランキングで、地中海式食事法が6年連続の総合首位に/Foxys Forest Manufacture/Shutterstock

最良のダイエット法を選ぶ今年のランキングで、地中海式食事法が6年連続の総合首位に/Foxys Forest Manufacture/Shutterstock

(CNN) またもや金メダル連発だ。米誌「USニューズ&ワールド・レポート」が3日に発表したダイエット法ランキングで、地中海式食事法が6年連続で総合1位に輝いた。同誌によると、太陽の降り注ぐ地中海の食事は「健康的な食生活部門」「植物由来ダイエット部門」でも1位に選ばれた。

2023年には新たに2部門が追加された。地中海式ダイエットはそのうちのひとつ「家庭向けダイエット部門」で、コレステロール値を下げる「TLCダイエット(治療的生活改善)」および「フレキシタリアン・ダイエット」とトップの座を分け合い、「骨関節の健康ダイエット部門」では「DASHダイエット(高血圧予防食事療法)」と1位で並んだ。

「私たちはつねに、自分の努力でできる健康改善を模索している。だが往々にして、特定の食事と特定の健康状態を検証する科学的データが不足している」と言うのは、USニューズ&ワールド・レポート誌の健康担当編集者、グレーテル・シューラー氏だ。毎年恒例のランキングの責任者でもある。

「ただし、骨と関節の健康については相当量の科学文献がある」とシューラー氏。「周知のように、社会は高齢化している。高齢者の生活の質を向上するような食事法に注目することは重要なポイントだ」

また今年の特徴として、これまでは40前後のダイエットが評価対象に挙がっていたのが、今年は24種類だけだった。もともとランキングに挙がっていた5つのダイエット――ベジタリアン、ビーガン、北欧ダイエット、伝統的なアジア食、血糖値コントロール――は、植物中心の食事がベースになっているという理由から、審査員の判断で地中海式ダイエットなどの食事法に統合された。

「今回の大きなポイントは、地中海式ダイエットは必ずしも地中海周辺の食物だけではないことを認めたことだ」とシューラー氏は言う。「地中海式の食生活から学んだ教訓や手法は、どんな国のどんな料理にも応用できる」

そうした手法は、23年のランキングに追加された2つの最新ダイエットにも反映されている――キートー・ダイエット(つづりはKeytoで、Yが入る)とプリティキン・ダイエットだ。

「ご存じのように、ますます多くの人々が植物寄り、あるいは植物中心の食事を摂取する摂取するか、少なくともそうしようと心がけている」とシューラー氏。「つづりにYが入る方のキートー・ダイエットは、基本的には炭水化物を控えたフレキシブルな地中海式ダイエットだ」

「プリティキン・ダイエットは低脂肪で繊維の多い自然食品が中心で、かなり融通も利く」と同氏は続けた。「加工されていない素の食物を多く食べようという傾向が見られるのは、素晴らしいことだと思う」

地中海式食事法とは?

地中海式ダイエットは糖尿病や高コレステロール、認知症、記憶障害、鬱(うつ)、乳がんといったリスクの軽減に役立つことが数々の研究で分かっている。食事制限よりも食事のスタイルに重きを置く地中海式ダイエットは、骨の強化や心臓の健康改善、長寿とも関わっている。

このダイエットは植物を中心としたシンプルな調理法が特徴で、どの料理でも果物や野菜、全粒粉、豆や種子と少々のナッツがふんだんに使われ、エキストラバージンオリーブオイルがことさら重要視される。オリーブオイルを除けば、バターなどの油脂が使われるケースはあったとしても珍しい。砂糖や精製加工食品は特別な日にとっておく。

赤身肉の使用も控えめで、たいていは料理の風味付けにとどめられる。オメガ3脂肪酸が豊富な脂ののった魚を推奨する一方、卵や乳製品や鶏肉類の摂取量は伝統的な西洋の食事と比べるとかなり少ない。

食事中の交流や運動は地中海式食事法の基本中の基本だ。ライフスタイル改善も地中海式ダイエットの一要素で、具体的には友人や家族との食事、食事を介しての社会交流、意識して好きな食物を食べる、身体を動かすことや運動を心がけるなどがある。

次点と下位チーム

昨年同様、DASHダイエットとフレキシタリアン・ダイエットは総合ランキングで2位タイだった。いずれも地中海式食事法と同じく、加工食品を減らすか完全に避け、果物、野菜、豆、レンズ豆、全粒粉、ナッツ、種子で料理を構成することに重きを置いている。

DASHダイエットでは血圧低下を念頭に、塩分摂取量の制限が重視される。一方フレキシタリアン・ダイエットは、その名が示す通り、たまのご褒美として赤身肉や鶏肉をよしとしている。

33人の専門家から成る審査員は人気ダイエットを検証し、複数の部門で格付けした。すべての食品群が盛り込まれているか? 実証に基づいているか? 必要な材料はどのスーパーでも入手可能か? 調理はどのぐらい手軽か? ビタミンや補助栄養素は追加されているか?

「量よりも質を重視した」とシューラー氏は言う。「審査員の印象では、ちまたのダイエット法の中にはあまりにも突飛で、検証に値しないと思われるものもあった。たとえばデュカン・ダイエットはランキング対象から外している」

今年のワースト賞はローフード・ダイエットに贈られた。少なくとも理由のひとつには栄養素が偏っている点があり、審査員の間では安全性が懸念された。このダイエットでは、実践者が口にできるのは火の通っていない、電子レンジにも放射線にもかけられず、殺虫剤や除草剤未使用の遺伝子操作されていない未加工食物だけだ。実践するのはほぼ不可能だというのが審査員の判断だ。

人気のケト・ダイエット(スペルにYはつかない)は応用バージョンも含め、24候補中20位だった。以下アトキンス・ダイエット、スリムファスト・ダイエット、オプタビア・ダイエットと続く。これらは炭水化物を最小限にとどめ、高たんぱくや高脂肪の食物を摂ることに重きを置いている。ランキング順位が低いのは、厳しく食事を制限していること、実践が難しいこと、全体の栄養バランスが崩れていることが理由だ。

ケト・ダイエットは総合順位こそ低いものの、短期間の減量ダイエット部門では1位に挙がった。ただしシューラー氏は、こうしたダイエットは健康的な生活とは言えないと念を押した。

「これらは数カ月後に結婚式やイベントを控えている人向けのダイエットだ」とシューラー氏。「短期間で体重を落とせるか?と聞かれれば、それは間違いない。その後2年間も維持できるか?と言われれば、おそらく無理だろう」

その他高得点組

減量ダイエット部門(長期)ではWWダイエット(以前の名称はウェイト・ウォッチャーズ・ダイエット)が1位で、DASHとTLCが2位タイだった。WWはダイエットプログラム部門(商業)でもトップで、2位以下はNOOM、Jenny Craigと続いた。

フレキシタリアンとTLCはお手軽ダイエット部門で1位タイ。地中海式とDASHは3位タイだった。

心臓の健康部門と糖尿病患者向けダイエット部門ではDASHがトップの栄誉に輝き、以下地中海式、フレキシタリアン、オーニッシュ・ダイエットと続いた。オーニッシュ・ダイエットとは、カリフォルニアのNPO団体「予防医学研究所」の創設者ディーン・オーニッシュ博士が1977年に考案したものだ。

オーニッシュ・ダイエットはストレス対策のテクニック、運動、周囲からの支援、禁煙を組み合わせたもので、オーニッシュ博士いわく、薬や外科手術に頼らず心臓病の改善が科学的に証明された唯一のダイエット法だそうだ。

新年の抱負に、地中海式食生活を加えたい方は、CNNのニュースレター「Eat, But Better: Mediterranean Style」にぜひご登録を。全8回のシリーズで、専門家お墨付きの美味しくて健康にいい食生活をご案内します。

メールマガジン登録
見過ごしていた世界の動き一目でわかる

世界20億を超える人々にニュースを提供する米CNN。「CNN.co.jpメールマガジン」は、世界各地のCNN記者から届く記事を、日本語で毎日皆様にお届けします*。世界の最新情勢やトレンドを把握しておきたい人に有益なツールです。

*平日のみ、年末年始など一部期間除く。

「Odd News」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]