「内陸の津波」、氷河湖決壊で1500万人に被災リスク 新研究
今回の研究の結果、氷河湖決壊の危険が最も高いのはネパール、パキスタン、カザフスタンなどアジアの高山地域であることが分かった。同地域の人々は誰もが平均で氷河湖から約9.6キロの地点に住んでいるという。
しかしロビンソン氏は、ペルーやボリビアといったアンデス地方も極めて懸念の大きい地域の一つだと指摘する。これまで研究対象となることがほぼなかった同地域だが今回の研究により、過去20年間で氷河の融解が急速に進んでいることが明らかになった。気候危機の結果巨大な氷河湖が複数形成され、決壊の脅威が高まっているという。
ロビンソン氏によれば、北米とヨーロッパ・アルプスの場合は氷河湖周辺の人口が少ないため、地域の危険度自体は低下する。
氷河の融解は、気候危機の兆候として最も明白に確認できる部類に入る。最近の研究では、化石燃料の使用の段階的停止など、野心的な気候変動対策の目標を達成してもなお、最大で地球上の半分の氷河が今世紀末までに失われる可能性があると結論している。