3000年前の毛髪から向精神薬使用の痕跡 欧州最古の事例 スペイン
(CNN) スペインの科学者らがこのほど、青銅器時代の欧州に住んでいた人々について、向精神薬を使用していたことを示す直接的な証拠を発見した。太古の儀式の一部に使われていた可能性がある。
植物に由来し、知覚に影響を与え、譫妄(せんもう)や多幸感を引き起こすことで知られるアルカロイドの痕跡が、およそ3000年前に遡(さかのぼ)る人間の毛髪の房に残存していた。研究者らはこの毛髪を他の葬儀用の遺物と共に、埋葬に使用される洞窟の中で発見した。洞窟はスペインの東の沖合、地中海に浮かぶバレアレス諸島に属するメノルカ島にある。
化学分析の結果、毛髪からは興奮剤のエフェドリンの他、アトロピンとスコポラミンも検出された。アトロピンとスコポラミンはどちらも精神活性化合物で、見当識障害、感覚の乱れ、鮮明な幻覚を引き起こす。研究者らの報告は6日発行のサイエンティフィック・リポーツ誌に掲載された。
人類の間で薬物の使用は、数千年の歴史を持つ慣行として知られる。それはこれまでユーラシア大陸や南北米大陸で見つかった手掛かりに基づいていた。しかし欧州では、精神に作用する植物が先史時代の遺跡に存在していても、考古学者らに提示される実態は不完全なものだった。そこには太古の共同体に暮らす人々がそうした植物を摂取していた証拠が欠如していたと、論文の筆頭著者でスペイン・バジャドリード大学の先史学准教授を務めるエリサ・ゲラドーセ氏は説明する。
同氏はCNNの取材に答え、今回の新たな発見を通じ、欧州の先史時代における薬物使用のもっとも古い証拠が示されたと述べた。