3000年前の毛髪から向精神薬使用の痕跡 欧州最古の事例 スペイン

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先史時代、葬儀の際に死者の頭髪を染める儀式を行う人々を描いたイラスト/Oriol Garcia i Quera/ASOME-Universitat Autònoma de Barcelona

先史時代、葬儀の際に死者の頭髪を染める儀式を行う人々を描いたイラスト/Oriol Garcia i Quera/ASOME-Universitat Autònoma de Barcelona

当該の洞窟が見つかったのは1995年。入り口は崖の上から約25メートルの地点にある。内部は七つの部屋に分かれており、紀元前1400年から同800年まで葬儀の場だった。200人を超える成人と子どもが男女共に埋葬された。

毛髪の房から検出された物質は、全てメノルカ島に生えている植物から作られる。具体的にはシロバナヨウシュチョウセンアサガオ、ヒヨスアルブス、マンドレイク、ジョイントパインといった植物だ。

毛髪の入った筒が見つかった部屋は紀元前800年以降閉ざされており、人の手に触れられていない。そのため前出の化学物質が現代の影響によるものとは考えにくいと、ゲラドーセ氏は指摘する。これらの化学物質は摂取の後、毛髪に吸収されたものだ。毛髪の長さの分析から、薬物摂取は死亡する1年近く前から行われていたことが分かる。

洞窟からの発見で、儀式上の薬物使用にも光が当たるかもしれない。先史時代の欧州の社会において、薬物の使用にどのような役割が与えられていた可能性があるのか、突き止める手掛かりになりそうだ。

当該の毛髪のように染色され、切断されて筒の中で保管される例はごくわずかしかない。そのような人物は宗教の専門家といった特別な地位に就いていたとみられる。向精神作用を持つ植物を摂取していたのも、その地位と関連する可能性があると、ゲラドーセ氏は述べた。

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