月面に残されたアポロ17号の着陸船、「月震」の震源に AI解析で判明

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アポロ17号から撮影された写真。月の地平線から昇る地球が捉えられている/NASA

アポロ17号から撮影された写真。月の地平線から昇る地球が捉えられている/NASA

(CNN) 米国がかつてのアポロ計画で月面に残した宇宙船が、「月震」と呼ばれる小さな揺れを発生させている可能性があるという研究結果がこのほど発表された。

研究チームは現代の人工知能(AI)を使ってアポロ時代のデータを解析し、これまで知られていなかった形態の地震活動を初めて明らかにした。

それによると、月面では激しい温度変化によって人工構造物が膨張・縮小し、そうした振動を発生させている可能性がある。月面の温度は夜間は氷点下133度まで下がり、直射日光を浴びれば121度まで上昇するという。

この論文は米カリフォルニア工科大学や米航空宇宙局(NASA)などの研究チームが5日の学術誌に発表した。

実際のところ、月面は全体が寒冷と熱波の中で膨張と収縮を繰り返している。しかし研究チームはAIを使ってアポロ時代のデータを詳しく解析することで、アポロ17号の月面着陸モジュールが放出する小さな揺れを突き止めることに成功した。同モジュールは月震を記録している計器から数百メートルの距離にある。

今回の研究は、月が周辺の環境にどう反応し、地震活動に何が影響を及ぼすのかを解明する手がかりになる。この揺れに危険はなく、人が地表に立ったとしても感じられないほど小さいという。

専門家によると、アポロ宇宙船は全てが月震の観測装置を搭載していたが、1972年に打ち上げられたアポロ17号は、月面の激しい温度変化によって発生する「熱月震」を検知できる地震計を月面に残した。

アポロ17号の実験で配備された4基の地震計は、76~77年の8カ月の間に何千もの信号を記録したものの、データの質が低いために解析は難しかったという。そこで研究チームは、波が到達するタイミングを正確に判定し、地震信号の強さを測定し、月震の震源の方向を特定するためのアルゴリズムを開発した。

このデータの解析が行われたのは数十年ぶりだった。その結果、衝動性熱月震と呼ばれる種類の月震は、自然の震源ではなく、近くにある宇宙船の熱射と冷却によって発生していることが分かった。

「毎朝、太陽が着陸船に当たると揺れが始まる」「地球時間の5~7時間にわたり、5~6分ごとに別の揺れが来る。驚くほど規則正しく繰り返されていた」とカリフォルニア工科大学の研究者は解説している。

こうした揺れは、太陽にさらされた地面の自然な反応によって起きるとされる月震とは違う種類の揺れだった。

研究チームは、今後の月探査によってこの現象の全体像が明らかになることに期待を寄せている。

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