マレートラが「絶滅の瀬戸際」、死骸発見が最近続き危機感高まる

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マレーシア首都クアラルンプール近郊の動物園で飼われているマレートラ/Xinhua/Sipa USA

マレーシア首都クアラルンプール近郊の動物園で飼われているマレートラ/Xinhua/Sipa USA

(CNN) マレー半島に生息する「マレートラ」の死骸が最近、相次いで見つかり、保護団体などは国民のシンボル的な動物が「絶滅の瀬戸際にある」との危機感を改めて強めている。

絶滅危惧種となっている野生のマレートラの個体数は現在、150頭を下回るとみられる。背景には生息地の縮小、違法な密猟や餌となる獲物の減少がある。約3000頭がいたとされる1950年代からは激減の一途となっている。

マレーシア北部クランタン州の田舎にある小川で先月下旬、体が膨張した1頭の死骸が浮かんでいるのを森林監視担当員が見つけた。わなにかかってけがを負ったり、銃撃を受けたりした形跡はなかった。同州の森林管理当局が検視を進めている。

その死骸の写真と映像は国内のSNS上で大きな反響を呼び、多くが国家的な象徴とも位置づけられる動物を絶滅の危機から緊急に守る必要性を説いた。

「世界自然保護基金(WWF)マレーシア」の幹部はCNNの取材に「マレートラが陥っている現状は国家危機」とも評し、その窮状を救うためには国民全員の全面的な関心と行動が必要と訴えた。重要な生息地での監視活動の強化、自動撮影カメラやドローン(無人機)などより先端的な装備品を投入しての保護活動の導入が必要とした。

「1頭を失うことは(マレートラという亜種)全体を絶滅により近づけさせることになる」とし、「全ての個体の命の存続はこの亜種の生存にきわめて重要」と力を込めた。

マレーシアの別の野生動物保護団体幹部によると、クランタン州に近いパハン州で最近、トラの頭蓋骨などを所持していた複数の密猟容疑者が逮捕された。クランタン州で発見されたトラの死骸とは無関係な摘発とみられている。

同幹部は、生息地内を貫く道路の建設がマレートラと車両の衝突が起きるリスクを増やす
ことにも触れ、最近起きたいくつかの事例にも言及。

マレー半島西部ペラ州の主要高速道路上の排水溝では今月6日、1頭の死骸を発見。年齢は約4歳の大人の雄らしく車にはねられたものと考えられている。パハン州の高速道路近くでも約1カ月前、大人のトラ1頭が死んでいた。5歳とみられ、近くの森林保護区から抜け出して道路を横断しようとした際に車とぶつかったとみている。

関係当局によると、車両と衝突して死んだマレートラは2023年11月から今年5月にかけ4頭に上った。

マレートラは04年にインドシナトラとは違う別亜種と認定された。スマトラトラやベンガルトラと比べ体は小さいが、専門家によると体長は約2.5メートル、体重は130キロまでに成長する。他の亜種のトラと比べ、体の色が若干黒っぽく、だいたい色を帯びた赤土色が特徴となっている。他の亜種と同様、広大な面積の森林地域などを縄張りとしている。

マレーシア政府は20年、非営利機関と協力し、政治的な関与や国民の支援に支えられた8年間にわたる国家的なトラ保存の行動計画を発表。地球と共有している、最たる王者の威厳を持ちカリスマ的な動物の一つが姿を消さないような協調行動をマレーシアが進める必要性を主張した。

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