「叫ぶ女性のミイラ」、研究で新たな詳細判明 表情についての仮説も
ミイラ化の技法から明らかになったこと
サレーム氏はミイラの保存状態の良さ、防腐剤の希少さと高価さ、ナツメヤシから作ったカツラの使用や遺体に装着された輪などの埋葬技術を踏まえ、防腐処理師がミイラ化の過程で不注意から女性の口を閉じるのを怠ったという説は排除されるとみられると指摘した。
論文によると、ミイラの「叫び声を上げているような表情」からは、暴力的な死との関連が指摘される珍しい筋肉の硬直「強直性硬直」の可能性が読み取れる。この女性が苦痛の叫び声を上げて死亡したことがうかがえるという。
論文の著者らは、死後18~36時間以内、遺体の弛緩(しかん)や分解が始まる前にミイラ化が行われたため、死亡時の口を開けた状態が保存された可能性があると示唆した。
一方で、ミイラの表情は必ずしも故人の死亡時の心境を示すとは限らないとも指摘した。
分解のプロセス、乾燥の速度、包み込みの圧縮力など、他にもいくつかの要因がミイラの表情に影響を与える可能性があるという。
サレーム氏はメールで「この女性の死因や真相、死亡時の状況は分かっておらず、叫ぶような表情の原因を確定することはできない」と注意を促している。