人間の全ゲノム、5Dの「メモリークリスタル」に保存 数十億年残る可能性
サウサンプトン大の研究チームを率いたピーター・カザンスキー教授(光エレクトロニクス学)は、「この5Dメモリークリスタルにより、他の研究者が永続的なゲノム情報の保管庫を構築する可能性が開ける。もし将来の科学で可能になれば、そこから動植物のような複雑な生物を復活させることができるかもしれない」と語る。
研究チームは、それほど先の将来にゲノム情報を回収しようとするのは一体何者なのかという問題を考慮する必要に迫られた。
それは生物種あるいはマシーンのような知性かもしれないし、あまりに遠い将来のことで現時点では参照の枠組みが存在しないかもしれない。ただ、研究チームはクリスタルの発見者の助けとなるよう、視覚的なキーを一緒に保管した。
カザンスキー氏は「クリスタルに刻まれた視覚的なキーは発見者に対し、内部に保存されているデータの内容や、その活用方法を伝えるものだ」と説明している。
今のところ、このクリスタルはオーストリアの塩坑の内部に設けられたタイムカプセル「人類の記憶」アーカイブに保管されている。
カザンスキー氏らのチームは18年、このメモリークリスタルを使ってアイザック・アシモフのSF作品を保管し、テスラのロードスターに乗せて宇宙に打ち上げた。世界人権宣言やマグナカルタを含む人類史の重要文書を保管する目的でも使用されている。