長年のブレイクダンスで頭皮に腫瘍、「ヘッドスピン」による症状と研究者
(CNN) ブレイクダンスを代表する動きの一つ、ヘッドスピンが身体に予期せぬ影響を及ぼすことが明らかになった。デンマークの研究者らが10日、関連する症例報告を公開した。
ブレイクダンスはブレイキンの名称で、今夏のパリ五輪の採用種目にもなっていた。ダンサーは高い身体能力とダンスの創造性で観客を魅了するが、そこには身体的なリスクも付いて回る。手根管症候群をはじめとする神経障害、そしてダンサーの間で「ヘッドスピン・ホール」として知られる症状などがそれに該当する。後者はヘッドスピンの多用が頭皮に悪影響をもたらす状態を指す。
通常は頭髪が抜け落ちることに始まり、場合によっては頭頂部が大きく腫れるといった症状が出る。
10日に医学誌BMJに掲載された症例報告では、ブレイクダンス歴20年近くの30代前半の男性が、良性腫瘍(しゅよう)の治療を受けた。腫瘍は厚さ約2.5センチ以上の大きさになっていた。
腫瘍で隆起した患者の頭部/BMJ Case Reports 2024
こうした症状は、ヘッドスピンによって頭皮と床の間で摩擦が繰り返されることが原因と考えられている。スピン中は体重の負荷による圧力が摩擦の影響を悪化させる。長年ブレイクダンスを続けたことで頭蓋骨(ずがいこつ)や頭皮が炎症を起こし、少量の出血を繰り返しながら皮膚が厚みを増した可能性があると研究者らは指摘。結果として特徴的な隆起を形成するに至ったとみている。
患者は腫瘍による違和感や痛みを訴え、隆起を隠すため外出には帽子が欠かせなくなったと報告した。手術で腫瘍が摘出された後は、正常な頭部に戻ったことへの安堵(あんど)の思いを語っている。
症例報告によれば、ブレイクダンス界隈(かいわい)の一部で症状自体は認識されているものの、「ヘッドスピン・ホール」に関する医学文献は現状で限られている。
ダンサーらが集まるオンラインの掲示板には、症状への対処についての投稿がみられる。具体的には、ヘッドスピンを行う際にパッド入りのビーニー(縁なし)帽を着用する、帽子の内側にジェルパッドを装着するといった方策だ。