世界初、家畜に対する炭素排出税を導入へ デンマーク
ロンドン(CNN) デンマーク政府は25日、農業に対する世界初の炭素排出税を2030年から導入することで合意した。
デンマークは乳製品と豚肉の主要輸出国であり、農業が同国最大の地球温暖化物質の排出源となっている。今回の合意には森林再生や湿地の造成などの気候変動対策への37億ドル(約5940億円)の投資も含まれている。
酪農業界はこの合意と目標を広く歓迎した一方で、一部の酪農家の怒りを買っている。
この動きの数カ月前には、環境規制や過剰な手続きなど数多くの不満をめぐって欧州各地の農業家らがトラクターで道路を封鎖し、欧州議会に卵を投げつけるなどの抗議活動を展開していた。
世界の食料システムは気候危機の大きな要因であり、温室効果ガスの約3分の1を排出している。
畜産業の影響はとりわけ大きい。国連食糧農業機関(FAO)によると、畜産業は15年の世界全体の排出量の約12%を占めている。この汚染物質には牛や他の動物のげっぷやふん尿によって生成される地球温暖化ガスであるメタンが含まれる。
デンマーク議会で年内に承認されるとみられるこの税は、30年から家畜による二酸化炭素(CO2)換算排出量1トン当たり年43ドル、35年には107ドルとなる。酪農家には60%の税額控除が適用される。
デンマークの環境シンクタンクによると、同国の乳牛は年間平均5.6CO2トンの二酸化炭素を排出しているという。つまり、30年の時点では1頭につき年96ドルが課税され、35年には241ドルが課税されることになる。
このシンクタンクの首席エコノミストはCNNに対し、「この税の目的は、排出量削減のための解決策を酪農家に模索してもらうことだ」と話す。例えば、使用する飼料を変更するといったことが考えられる。